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「仰る意味が解りかねるのだが」 ナイトが言葉を崩したエイジにギョッとして、その肩を掴む。トイレから戻ったレイは、エイジが肩に乗るナイトの手を軽く叩き、脂と血で汚れた指先に口づけるのを見た。青ざめたレイの喉が、ぐうぅ、音をたてる 「日本州の治安を守る職務につく方々は、青年の無残な姿を目の前にしても法の保護を求める試験管ベイビーの現実を見ようとしない」 ルイーズとレイに向けた冷たい目を 「ガッカリです」 エイジがスッと逸らした。睨む価値もない、そんな逸らし方だった 「仰るとおり、我々は法を尊重するのが仕事です。田中医院の医師にお尋ねしたい、それの解剖許可は得てるのですか」 「許可ならありますよ」 少し声音をやわらげたエイジのあげた名に 「連邦司法警察判事、近衛ジョン警視正の」 ルイーズとレイの顔色が変わる 犯罪者検挙と同時に裁判を行い、刑の確定までを担う権限をもつ連邦司法警察判事は日本州警察本部の、雲の上に存在する上司だ 「どうして判事がこんな試験管ごときの・・・・・・」 ルイーズとレイが口をつむぐ。胸に秘めた続きの言葉を発したら最後、生きてここを出れない気がしたのだ。彼らに向けられた黒銀の眼球は美しくもあり、恐ろしくもある。エイジから距離を取り、足音を忍ばせ、ルイーズとレイは解剖室から出て行った 「まったく、日本州警察の差別意識の低さには、頭が痛くなる」 「隠し戸を開けよう。手術の進捗状況が心配だ」 ジョン判事の来訪まで時間がある。ナイトは被害者の開いた胸部腹部を閉じていき、エイジは壁の合わせ目を強く押し、横へ動かした
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