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「お星様がでてきたよメル兄ちゃん」 僕を逃がすために自ら犠牲となったメル兄ちゃんに、時間を教えるのが僕の日課。動かない手を握って、幼い頃に聞いた子守歌を口ずさむ 脳は生きてる エイジ先生の助言で、メル兄ちゃんの足裏にヘノヘノモヘジを描いた。もしメル兄ちゃんが動いたら、絵も動く 『ギユウは絵が上手いな』 幼い頃、僕の絵を誉めてくれた父さんはもういないけど、メル兄ちゃんは生きてここにいる。もしあの時、エイジ先生と出会わなかったら、メル兄ちゃんを失っていたら、僕は生きることに耐えられなかったと思う 「メル兄ちゃんを助けて!」 必死だった。この人しか助けてくれる人はいないと分かってたから、足に縋りつき懇願を繰り返した 「しーっ、声がデカい」 細められた銀色の瞳が辺りを警戒するように、左右へ動く。伸ばした人差し指をくいくい、曲げて無言で呼ぶ彼について歩くけど、僕の脳裏にはガックリ首を垂らしたメル兄ちゃんの姿が浮かんでた 一分一秒が惜しい、お願いします。早く助けて下さい、メル兄ちゃんを 指を組み合わせ、神に祈りを捧げながらついて行った先にあったのは、鉄格子に囲まれた護送車だ。騙された騙された騙された騙された騙された。ここから逃げなきゃ 「おい、待て」 コートの襟を掴まれた。いらない、こんなコート。袖から腕を抜き駆け出そうとしたのに 「いい加減にしてくれないかな」 僕の腰に腕が回る
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