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ジャラジャラズルズル、響くのは鎖と重い物を引きずる音
「この日のために大小の石を庭に敷き詰めたのです。アレは父の護衛をしていたので、油断できません」
兄だった人のへりくだった声が聞こえた。父さんの護衛って・・・・・・、まさか。仰向けに転がされ、ギシギシ、骨が軋むほど乱暴に奥を抉っていた肉が噴射し、ギユウからのいた。全身を襲う痛みに堪えて、薄目を開けたギユウは
―――――メル兄ちゃんっ
掠れた悲鳴を漏らした
「ソイツも楽しみたい。適当なところで犯すとしよう」
鍛え上げられたメルの肉体が木の幹にくくりつけられていく。拘束した両手首を枝に繋がれ、動けないメルの腹を
「グアッ!」
矢が貫いた
「矢の突き出た箇所を切り落としてこい」
ギユウの背が蹴られた。股の奥から垂れるどろっとした水がギユウの白い脚を汚す。それでも、はっ はっ。ギユウは重い足を引きずるのを止めない
行きたかったのだ。ゴボッ、口から鮮血を垂らすメルの側に
「いや、少しズレたな。バロンくん、協力して人の偽物。試験管が渇望するヘソを正確な位置にこしらえてやろうではないか」
待ってて、直ぐだよ、直ぐに助けるから。拘束さえされてなければアイツらくらい、メルは簡単にやっつけられる。手にしたナイフで鎖を切断するため、木の幹に手をかけたギユウに
「さっさとしろ、お前ごと射抜くぞ」
―――逃げろギユウ。ここを出て生きるんだ
メルが囁いた
足が震える。手も震える。残していけない、一緒に逃げよう。涙で頬を濡らすギユウにメルが微笑む
―――だったら、兄ちゃんの友人を連れてきてくれ
分かった。頷いたギユウの目の前で
「ガハッ!」
メルの右の眼球を矢が貫通した
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