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「くそっ!くそっ!ちくしょー!!!
うおぉぉぉぉぉ!!!!」
滝の様に涙が零れおちる。
まるで子供の様に叫び、床を血が出るまで叩く。
俺にとって、魔王アドラースとの戦いは、あまりにも辛く生きる意志すら失うほどに酷い戦いとなってしまった。
「ちくしょー!ちくしょー!ちくしょー!!
ハァハァハァハァハァ……」
もう…嫌だ………。
聖剣を手に取り、自らの首に刃を当てる。
もうたくさんだ!!
何もかも!何が勇者だ!!何が魔王討伐だ!
俺は全て無くしてしまったじゃないか!
故郷も!友人も!俺をしたってくれたシエルも!
全て!全て!俺はもう…
自らの命を経とうとした時、背後から怯え震えた子供の声が聞こえてきた。
「な…なにしてるの?」
声のする方を見ると、幼い少女の姿がそこにある。
少女は、震えていた。
今から俺がなにをするのかわかっているのだろうか。
だが、もう決めた事だ。
少女に見せたいものでは無いが、もう…
たくさんだ。
「俺はもう…生きるのが嫌になったんだ。」
「だっ!だめだよぉー!!」
たったったっと駆け寄る足音が近づいてくる。
「くるなっ!!」
慌てて首を切ろうとした俺に再び鮮血が降りかかる。
俺の血ではない。
「痛い!!」
子供の声にふと我に返えると、少女が必死に痛みをこらえながら剣の刃を掴み、その手から血を流している。
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