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「え?んーとね?んーとね?」
目を赤くしながら首をかしげた幼女は、きょとんとした顔でなにかを考えた後にぱっと笑う。
「わかんなーい。」
え…こんな所で迷子?
こんな小さな子がこんな所にいる事が不思議だ。
だが、現に目の前にいるのだから夢ではない限り現実に起こった事であるのには間違いない。
俺は幼女の肩を掴み、大きくため息をついた。
暖かい。体温があるって事は夢じゃないんだな。
何故、こんな所に子供が…
いや、今はそれより、安全第一だ。
俺は幼女の肩を掴み、目を合わせて言う。
「危ないじゃないか。
こんな所で来て…
でも、良く無事だったね。
さぁ…お兄さんとここを出よう。」
「うん!」
悲しむのは後だ。
俺は、幼女の手を掴み立ち上がると一突きにされ絶命するランディと、真っ黒に焦げたシエルを悲しそうに見つめ、外へ走り出した。
ごめん…後で必ず弔ってやるからな!
そして…ユグルトと幼女が魔王のいた謁見の間を後にし、数分たった頃。
「うぅ…痛…い……。
いた……いよ。」
黒く焼けたはずのシエルが動き出す。
「ヒッ…ヒーリング…。」
魔法の光に包まれ、火傷を癒しはじめた。
「ユグ…ルト……。
ど…こ?」
まだ治りきらない体で立ち上がり、歩き始める。
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