4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ユグル…ト?」
助かったのは奇跡としか言い表せない。
リブァイヴの魔法が発動していなければ、塵も残っていなかっただろう。
リブァイヴとは、発動確率10パーセントにも満たないオートメーション復活魔法。
僧侶や魔導師が使わないよりかはましだろうと言う願掛け感覚で自らにかけている魔法で、あまり意味はないとされている魔法の一つ。
それでも、かけておいてよかったと胸をなでおろした。
「あ、見えるようになってきたかな…
ユグルトー。どこ?
え?…」
やっと視力が戻ってきたシエルがみたものは、無残なまでに刺し貫かれた魔王の姿。
そして…
「魔王……?
ラ…ランディ!?」
胸をひと突きにされ、横たわるランディの姿がそこにあった。
「しっかり!ラン…ひっ!?」
駆け寄り、ランディを抱き起こし、絶句する。
まるで恐ろしいものを見た表情で絶命しているランディの姿がそこにあった。
「いっ!いやぁー!!!」
炎に包まれている間起こった事は、シエルには何が起こっているのかわからない。
「ねっ。ねぇ!!
ユグルト!!ねぇ!!
これはどういう……。
ねぇ!!どこよ!!ねぇ!!」
錯乱しながらユグルトを呼ぶも返事が返ってこない。
シエルは魔王城内を探しはじめた。
「どこ!?
ユグルト!ねぇ!!」
各部屋を探していったが姿が見えない。
「ど…どういうこと?」
最後に入った部屋は、寝室の様でクローゼットと大きな鏡があった。
そういえば服…燃えちゃったんだっけ…
シエルがクローゼットの中から服を物色しようとした瞬間、クローゼット脇に置いてあった鏡に一瞬映った化け物のような姿に気づいてしまった。
「!!!」
鏡に掴みかかり、自らの姿を映し出す鏡を凝視する。
火傷の跡が顔を含む全身に広がっており、まぶたも焼けてなくなってしまっている。
「あ……あぁぁぁ………。」
こ…これが今の私の姿?
全てに絶望し、その場に崩れ落ちる様に座り込むと涙が溢れ始めた。
「あ…あーあーあー!!」
嗚咽し火傷跡の残る身体を抱きしめる様にただひたすら涙を流し叫び散らす。
最初のコメントを投稿しよう!