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その叫びはこの世のものとは思えない様な悲痛に満ちており、その心は、徐々に闇に飲み込まれていく。
なんで?なんでよ!
ユグルトォー。どこに行ってしまったの?
私はまだここにいるの!!
助けてよー!ユグルトォー。
「おぁーーおー!!!」
絶望が心を埋め尽くした時、脳裏にランディの死に様が浮かんでくる。
捨てられたんだ……
私達……
その闇は怒りへと変わり、その牙は魔王にではなく、ユグルトへと向かっていく。
魔王を倒すために生贄にされたんだ…
「うぅぅっ!!うわぁぁぁぁぁぁ!!
ふぅふぅふぅ!うぁーおぁっ!!!」
許さない!許さない!許さない!!許さない!!許さない!許さない!!許さない!!許さない!!!!ユルサナイワァー。
「うふふ…うふふふふふふ…
ふはははははっ!!!」
元々、シエルが持っていたユグルトへの好意は、憎悪へと変わり、憎しみに呑まれ心を完全に壊していく。
「ユグルトぉー。
私ぃー綺麗でしょー?
ほらっ!戦利品だけどこんな綺麗なドレスもあったのぉー。
今から貴方の元にいくわぁー。」
クローゼットから漆黒の翼がついたドレスを着飾り、どこか遠くを見つめながらくるくると踊り狂う姿。
もはや人間としての理性感情を失ってしまった人の姿を鏡が映し出していた。
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