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プロローグ3 幼女と勇者。
「ハァハァハァ…なんとか…脱出できた…」
「お兄ちゃん早いはやぁーい」
俺の肩に乗り、きゃっきゃとはしゃぐ幼女に疲弊しきっていた顔の俺。
なんとか魔王城から少し離れた森の入り口まで逃げ切る事が出来た。
「ハァハァハァ……。
もう…大丈夫だから…降りてくれると助かる…」
「うん!」
俺とこの子は、謁見の間を出た直後、魔物と遭遇し、2人で走り抜けようとしたが、幼女が転倒。
仕方なく肩車で強行突破をするという前代未聞の離脱を果たしていた。
「ハァハァハァ……。」
木にもたれかかり息を整えようと座り込む。
肩車で良く魔物を振り切れたなぁー。
まぁ…途中、人型の魔物がぽかーんとした顔をしていたが……ある意味肩車して良かったのかもなぁー。
魔王城で、肩車して走る勇者など聞いたこともない。
ある意味心理作戦みたいなものだと、自分に言い聞かせ、羞恥心をごまかそうとしている自分に、恥の上塗りで一人悶えている。
「はい、お兄ちゃん。
お水。」
幼女がユグルトの鞄から水筒を取りだし、?にピトリと当ててくる。
「ありがとう。」
俺は、笑みを浮かべて礼を言うと、水筒の水をごくごくと喉を鳴らしながら飲む。
その姿を、幼女が満面の笑みで見つめていた。
「おいしー?」
「ぷはぁー!うん。」
「よかったぁー。」
ニコニコと笑う姿に俺もほっとしたのか、自然な笑みがこぼれ落ちた。
そよ風がとても心地よい。
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