プロローグ3 幼女と勇者。

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今まで激闘を思い浮かべながら目を瞑り、風を全身に感じる。 「涼しいな。」 「うん!暑かったもんねー。 あんなか。」 やっと…この長い旅も終わったんだ。 辛い事ばかりだったが… なんとか成し遂げた。 ランディ…シエル… ごめん。俺が弱いばかりに…… ?を伝う様に涙が溢れおちる。 まずは王国跡地に向かおう。 そして、生き残った人たちを連れてもう一度ここにくるよ。 それまで待っていてくれ。 二人とも。 少し気持ちが落ち着いてきたので、この子をどうするかを考え始める事にした。 一度…連れ帰って今後のことを考えないとな。 あ…そういえば… 身体を起こし、幼女に尋ねる。 この子にはまだいっぱい聞かなくてはならない事があった。 「ねぇ、君。」 「ん?お兄ちゃん?」 側で寝ていた幼女が片目だけ開けてこちらを見る。 「そう言えば君の名前は?」 「なや。須原なやだよー?」 「すはら…なや?」 その名前はどこの国にも属さない不思議な名前だった。 すはら…なや? 聞いたこともないぞ? 「お兄ちゃんは?」 「ユグルトだよ。」 「ヨぉーグルトぉ?」 なやが困った様な変な顔をしながら首を傾げている。 ヨーグルト?なんだそれは… まぁ、それはいいか。 「ユグルト。 俺は王国から派遣された勇者なんだ! もう、その王国もないけどねー。」 考えてみれば自分の身の振り方も考えなきゃならんし、どうするかぁー。 「お兄ちゃん、住むとこないの?」 「あはは…そうなるねー。」 痛いところつかれた。 ユグルトは落胆しながら、疲れた様な笑みを浮かべる。 「じゃあ!じゃあ!なやのうちに住もうよ! 私がママに頼んであげる!!」 お母さん…いるんだな。
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