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庭にそよぐ大きなけやきの葉音に、耳を傾け寝そべると夢の中へと誘いそうになる。
ごはんー。まだかなぁー。
気づけば眠りについて、どのくらいたったのだろうか。
起きて下さい。
と、どこからともなく声が聞こえて、なやが目を覚ました。
「うーん?
ママぁー?」
何かおかしい。
とても静かで、ママが作っているチャーハンが宙に浮き止まっている。
「あれぇー?
ママぁー?」
ママも返事をする事なくただ宙に浮くチャーハンを凝視していた。
「ママ?
………。えぃ!こちょこちょこちょこちょ。」
脇をくすぐって見ても反応がない。
普段のママなら、大笑いした後に膝をつきなやを怒るはずだ。
「ママ?」
廊下に出て今度はおばあちゃんの服裾を引っ張ってみるも反応なし。
まるで世界が止まっているようだ。
こっちです。なやちゃん。
「だーれぇー?」
声は庭から聞こえてくる。
何もわからないなやは、庭の方へ走っていった。
「なにこれぇー!?」
庭でなやが見たものは、風もないのにざわめく大きなけやき。
元々一本だけけやきの木があったが、風もないのにざわめく様子は違和感しか感じない。
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