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第1章 おうちをつくるんだもん!
魔王戦が終わって3日後の朝。
城下町のあちらこちらでトントントンと言う音が聞こえる。
「おーい!なやちゃん。
それを取ってくれー。」
「はーい!うんしょ!うんしょ!
どぞーっ!!」
なやがヒゲを蓄えたおじさんに楔を持って手渡す。
楔とは、家の柱と梁を繋ぐ鉄のとめ具で、大きなホチキスの針みたいな形をしている。
子供には抱えなくては持つことも出来ない大きさで、それをおじさんは片手でひょいと持ち上げ打ち付けている。
「ありがとよっ!」
「えへへっ。褒められちったぁー。」
大きな手で豪快に頭を撫でてもらい、満面の笑みで喜んでいた。
「じゃあ、なやちゃん。
ここは良いから向かいのおばさん所手伝ってくれ。」
「うん!」
今度は向かいのおばさんのところへ向かい、お手伝いする。
「これを持って行っておくれ。」
「わかったぁー!」
たったったっと、カゴに入った果物を受け取り走り出す。
そう、今王国は復興の真っ最中。
帰り着くなり、王国民の生き残りと再会し復興の手伝いをしたくなった2人は、自分達の事など構う事なく町の人たちを手伝いはじめた。
「順調ですか?」
俺は、森から伐採してきた木をヒゲのおじさんのそばに置き、声をかけ笑顔を見せる。
「おう!勇者のあんちゃん!
なやちゃんだっけ?あの子頑張るなぁー。
うちの息子にも見習わせたいくらいさ!」
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