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「あははっ。お役に立っているなら光栄ですよ。」
「謙遜すんねぇー。
あんちゃんは、なんてったって勇者なんだからなぁー。
で?あの子は何なんだい?
あんちゃんの連れ子には見えないが…。」
旅から帰ってきた勇者が子供を連れて帰れば、噂にもなるだろう。
町民が気にならないわけがない。
「あの子は、旅の帰りに拾った迷子ですよ。
自分の住んでいた街がわからないみたいで放って置くこともできずに、近隣の村も違ったので一度王国に連れてきたんです。」
男は難しそうな顔をして再び作業に戻るとひとりごとの様に言った。
「ん。まぁーよ。
母親が心配するだろうから、早く帰してやんな。」
「あはは…そうします。」
いったいニホンとはどこの国なんだろうな。
探して見つかる様な場所なのかもわからない。
「あ、材木。ここに置いてありますので。」
「おう!ありがとよ!」
俺は、材木をおじさんのそばにおき、再び森へ戻り木を切り始める。
ふぅ…午後は自分の家も作り始めないとな。
そんな事を考えながら、ひたすら木を切る事に没頭した。
嫌なことを忘れられるから。
木を切っている間は、無心になれた。
すぐに兵を率いてランディ達の遺体を回収しに行ってくれた王子の力になりたいと言う思いを言い訳にして無心に取り組む。
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