第1章 おうちをつくるんだもん!

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街の中央では配給が行われており、行列が出来上がっている。 待ち合わせの場所は、たしかレオが目印だったな。 この国で皇族の生き残りは、王子であるレオだけだ。 ゆえ、民を先導する為、いつも高い位置にいる。 お、いたいた。 「すいません。通してください。」 俺は配給に並ぶ人たちをかき分け、レオの元へ向かう。 「皆の衆!すまないが食料は数限りある。 故に喧嘩する事なく仲良く分けあって欲しい。」 配給場所の背後に積まれた大きな木箱の上に1人立ち、指揮をする青髮の青年がレオだ。 マントを翻し、シルクの衣服を着た姿で街の人達とは階級が違うことがわかる。 「あーっ!おーじ様っ!」 俺よりなやの方が先についたらしい。 レオの側にテクテクと駆け寄り、満面の笑みを浮かべている。 「ん?君は…」 レオが木箱を並べて作り上げた壇上から飛び降り、なやの頭を優しく撫でた。 「たしかユグルトが連れてきたなやちゃんだったな。 話は聞いている。 良く頑張っているらしいじゃないかぁー。」 「えへへっ。またまた褒められちったぁー。」 嬉しそうに笑うなやと、満面の笑みの王子。 その光景を見ていた側近兵も癒された様子で2人を見つめている。 「そういえば、ユグルトはどうした?」 「お兄ちゃんなら、木切ってる!」 「ほう…あいつも大変だな。 魔王退治の後、すぐに復興作業だ。 自分の身の振り方もまだだと言うのに。 この有様では褒賞一つまともに与えてやれないからな。」 「お兄ちゃんなら大丈夫だよ! 何かしていた方が楽だって言ってたー。」
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