プロローグ異世界への旅立ち。

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けやきは、ざわざわと揺れながら答える。 私はこの世界の住人ではありません。 「そうなの? 何処から来たの? おねーさんは、誰なの? 何歳? 好きな食べ物はぁー? お願いって何?」 えっと…ねぇ? 質問は一個ずつにしようね? 困った様子で答えたのが良かったのか、なやは、んーって悩みながらも一つずつ質問し始める。 「じゃあ、どこから来たの?」 子供とは好奇心の塊。 一番気になることから聞いてくる。 けやきの木は、年齢を聞かれたくない一心で、一つ一つ答えるのではなく、本題を含めた内容で答え始めた。 私は別世界アルスティアから来ました。 「じゃあ…」 私の住むアルスティアは、魔王に蹂躙された世界でしたが、一人の勇者の手により、救われました。 「勇者ぁー!?」 なやの興味が勇者に向いた。 しめた!と思ったけやきの木が、勇者について語り出す。 そうです!勇者です。 彼は、とても優しくて… 勇敢で…… 真面目な好青年でした。 「そーなんだぁー。 今は違うの?」 ………。 彼は……魔王との戦いで仲間を亡くしてしまい、闇に落ちようとしています。 「やみ?」 なやがキョトンとしている。 闇について理解がないお年頃ななやには難しい話だったらしい。
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