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そして、悲しみに暮れたアドラースは、魔王となり、再び国へ戦線布告を出す。
今度は仲間の救出目的ではなく、全てを滅ぼす為。
闇を纏い、魔界の住人を引き連れ、裏切った国を滅ぼすと次は、世界を滅ぼし再構築することを目的とした人と魔物による戦い。
これが、魔王戦線の経緯。
そして、現勇者の俺と騎士ランディは、滅んだ国の生き残りであり、アドラースは2人にとって、尊敬していた兄貴分。
亡くしたくない人の一人だ。
「もう、やめてくれよー!
アドラースさん!」
「それはできぬ!
もう…手遅れなのだ。
さぁ!こい!!ユグルト!!
貴様が今の勇者なのだろう?
我を止めてみせよ!!」
だが何を言っても、もう届く事がない。
俺は、絶望の最中、回復魔法をかけるシエルの手を離しゆっくりと立ち上がり、再び聖剣を構えた。
「わかったよ。アドラースさん…
もう大丈夫だ。ありがとうシエル。」
「ユグルト…
わかったわ!援護します!」
俺の背後で、シエルが詠唱を始める。
「赤龍の王よ!
地を焼き、空を赤く染め、焼き払う力を我に!」
「行こう!ランディ!!」
「おう!」
俺とランディは、再び魔王に向かい走り出した。
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