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「なんだよ…その態度」
呆れた顔をして呟いた冬夜に、幸太は
「すみません…。僕、そういう趣味はありません」
そう言って、ぺこりとお辞儀をした。
冬夜は一瞬、何を言っているのか分からないというポカンっとした顔をした後、意味を理解したらしく顔を真っ赤にすると
「アホ!俺もそんな趣味無いわ!」
と叫んだ。
動揺している冬夜が珍しくて、幸太は嬉しそうに
「良いんですよ…。冬夜さんがたくさんの女性と付き合っても、長続きしない理由が分かりました」
そう続けてからかっていた。
すると冬夜はいつもの無表情に戻り、幸太の頭をゲンコツでグリグリとやりながら
「そうかもな!俺、幸太がそういう意味で好きかもな!」
と、物凄い棒読みで言っていた。
遥が呆れた顔をしながらその様子を見ていると
「痛い!冬夜さん、悪ふざけが過ぎました!すみません!」
って言いながら、幸太がジタバタと逃げようとしていると、冬夜が面白がって幸太の首に腕を巻き付けて動けないようにしている。
「冬夜さん、ギブ!ギブ!」
幸太が必死に冬夜の腕を叩いている。
「えー、俺、幸太が大好きだから離したくないー」
と、冬夜は再び凄い棒読みで答えた。
遥がその様子を黙って見ているのに気付き
「遥せんぱ~い!見てないで、助けて下さいよ~」
涙目で幸太が訴えて来た。
遥は苦笑いを浮かべ、
「はいはい、戯れるのはそこまで!」
と、「パン!」っと手を叩いて一喝する。
冬夜が幸太を離すと、幸太は慌てて遥の背中に隠れて、冬夜にあかんべをしている。
そんな幸太を、遥は苦笑いして見ていた。
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