OOP-ARTS(オーパーツ)

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 次にチェックする30年前のシステムのソースファイルが入った8インチフロッピーディスクは複数枚ある。 「最新」、「最新2」「バージョンアップ版」、「受入検査修正版」  一体全体どれが実際に動いている版か不明である。  当時のシステムに関わっている人間も居なく、一つ一つ中身を確認してタイムスタンプの日付が新しいファイルが最新と判断するしかなさそうだ。  C++ですらなく、単なるC言語で書かれたソースファイルを開いて一つずつ確認していく。  見始めたソースコードは他のソースコードよりも多くのコメントが書かれていた。多くは、プログラム処理の解説である。どうやらこのコメントを書いた人――Aさん――はこのプログラムを最初に作った人ではなく、後から改修を任された人らしい。元々のソースコードにはコメントが全然なかったのであろう。Aさんがプログラムの内容を解析して記述したように見受けられる。 「この処理は必要なし」とか「本当はもっと簡単にできる」とか「本来は別リソースで管理するべき」などと書いてあったりする。きっとAさんも自分と同じように不本意ながらも元号変更の仕事をこなしていたのだろう。なんとなく親近感を覚える。
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