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朔夜は「ありがとう」と言って私の頭を撫でる。
久しぶりに感じる、朔夜の温もり。
それだけで、少しずつ満たされていく私がいた。
「じゃあ、行こう…って、その前に」
涙でぐちゃぐちゃになった私の顔を、朔夜はスーツの袖でゴシゴシと拭く。
「い、行くって、ど、どこに?」
「それは秘密。――よし、行くか」
そう言って私の手を引く。
私は行き先が分からないまま、エントランスの近くに止めてあった車に乗り込む。
移動中、特に会話もなく、ただ助手席に座って運転している朔夜を横目で見ているだけだった。
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