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私の新人研修は、サービスセンターから始まった。
ラッピングをした事が無かった私は、贈答品用のラッピングや熨斗の付け方等を必死に覚え、やっと覚えたかと思ったら新生児用品売り場へ異動。
その後、ベビー雑貨、マタニティー売り場、ギフト売り場から催事と渡り、最後に玩具、文具、ファンシー売り場と研修した。
「今日から、うちの売り場で一週間研修する事になりました柊 明日海さんです」
杉野チーフから紹介され、挨拶をしていた時だった。
「じゃあ、一人一人自己紹介しましょうか。まずは……森野君から」
杉野チーフが指名した時、一瞬ドキっとした。
スラリとした長身に、短く切りそろえた髪の毛が顔立ちの美しさを際立たせている。
切れ長の涼し気な瞳と凛々しい眉に、スーと通った鼻筋。引き締まった薄い唇。
芸能人かと思う程、綺麗な顔をしていたその人に思わず見とれていると
「森野です」
と発した声が、CDをもらった時の声よりも大人びてはいたけど、私が聞き間違える筈が無い!
「その声……って、カケルさん? 森野さん!
歌!歌を歌っていませんでしたか!」
思わず叫んでしまっていた。
すると森野さんはムっとした顔をして
「それ……嫌味?」
そう返したのだ。
「こら! 森野君、すぐ喧嘩売らない!
ごめんね、森野君は酷い音痴なの。
だから、歌は絶対に歌わないのよ」
困った顔をして言う杉野チーフに
「でも……」
思わず反論しそうになった私に
「誰と間違えてるのかは知らないけど、俺と声が似てるなんて……。
歌が致命的に下手くそな奴なんだろうな」
と、鼻で笑われて言われたのにはカチンと来た。
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