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第三章 これが恋ってヤツですか?
ハロウィンが終わり、街がクリスマスムードに色付く頃、玩具売り場は戦場と化する。
「柊! 売り場の商品、在庫確認したのか?」
ストック置き場に入るなり、森野さんが私に叫ぶ。
「あ、今行きます!」
慌てて売り場へ行こうした私の背中に
「言われる前にやれ! この時季は、いちいちお前の面倒を見る時間無ぇんだから!」
と、森野さんの怒号が飛んで来る。
私も最近、やっと幾つかのメーカーを任されるようになった。
私の担当はピクチャーパズルと知育玩具。
売り場に行くと棚に品物が無い所が幾つもあり、慌ててストック置き場から商品を持って来て陳列する。
そんな中
「あの……」
と、小綺麗なママさんが森野さんに声を掛けているのが目に入った。
すると、普段の鉄仮面が嘘かと思う程の笑顔を浮かべて
「はい、何かお困りですか?」
って、ママさんに答えている。
まぁ……ぶっちゃけ、初めて見た時は自分の目を疑ったよね。
いつもムスッとした鉄仮面が、接客となると爽やかスマイル全開な訳ですよ!
そんな笑顔が出来るなら、少し位は私等にも笑顔を見せろ!って感じ。
商品説明を受けているママさん、森野さんの本性を知らないから、森野さんの説明に頬を赤らめて聞いている。
一緒に働き始めて、森野さんが物凄くモテるのを知る。
他の売り場の人で、森野さんを好きだと言う噂もチラホラ耳にした。
お店のお客様も、森野さん目当て風の方々も多いみたいだ。
その方々は、絶対に私達には話し掛けて来ない。森野さんが品出しをしていると近付き、声を掛けるのだ。
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