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間一髪の所で森野さんが売台を支えてくれたお陰で、誰もケガをせずに済んだ。
杉野チーフと、お手伝いに来ていた先輩が売台を戻して固定した瞬間
「馬鹿野郎! お前、何やってるんだよ! 危うく怪我人を出す所だったんだぞ! やる気あるのかよ!」
森野さんが、鬼の形相で叫んだ。
「最近のお前、ぼんやりしてばかりでやる気が感じられない。やる気がないなら、他の売り場へ異動しろ!」
吐き捨てるように言われて、ショックを受けながら
「すみませんでした」
と頭を下げると
「森野君、怒りすぎだよ。柊さんも、今後は気を付けてね」
そう言って、杉野チーフが必死にフォローしてくれた。
すると森野さんは、杉野チーフを睨み付けると
「大体、普段から杉野チーフが甘やかすから、こいつがつけあがるんです! あなた、チーフの自覚あるんですか?」
と、怒りの矛先が変わってしまう。
「私だって、考えてやってます! 大体、森野君は怒鳴ってばかりじゃない! そんなじゃ、柊さんが委縮しちゃうでしょう!」
「萎縮? こいつが委縮するタマですか?」
「何でそういう言い方するの? 大体、森野君は冷たいのよ!」
ただでさえ、セール前でピリピリしていた売り場が、一気に険悪なムードになる。
杉野チーフと森野さんの言い争いは、どんどんエスカレートしていき、私の事で二人が言い争うのが耐えられなかった。
「もう、止めて下さい! 全部、私が悪いんです。だから、二人で言い争わないで下さい」
必死に叫んだ瞬間、杉野チーフと森野さんが口を噤んだ。
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