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どの人が誰なのかなんて全く分からず、しかも大人びた彼等に怯えていると
「あれ?誰?その子」
低い声の男の人がゆっくりと近付いて来た。
柔らかい雰囲気に合う優しい風貌をした、これまたカッコイイお兄さんが私の視線の高さにしゃがんで微笑んだ。
幼いながらに、イケメンの笑顔の破壊力に倒れそうになっていると
「お兄ちゃん達のファンだって」
眼鏡のお姉さんの言葉に、目の前のイケメンは一瞬驚いた顔をした後
「カケル!お前のファンだ。相手してやれ!」
そう叫んだ。
すると部屋の奥から、まだあどけなさの残る「少年」と呼んだ方が良い感じの可愛らしいお兄さんが現れた。
「ファンって……俺だけのじゃないですよ」
唇を尖らせて呟いた声は、ステージから聞こえた声だった。
「あ……」
思わず感動して見上げていると
「ほら、お前のファンだろう?俺らのファンなんて、見た目だけで選んでる奴ばっかりだからさ」
自嘲気味に呟いたその人に
「違います!確かに……歌声には惹かれました。でも、皆さんの演奏はうるさくなかったです。あの……好きな音です」
今思えば、もっと上手く言えなかったかね?と思うけど、この時の私にはこれが精一杯だった。
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