第一章 運命の出会い

5/6
前へ
/88ページ
次へ
すると、眼鏡のお姉さんに「お兄ちゃん」と呼ばれていたイケメンが破顔一笑したのだ。 「やべ、俺泣きそう」 言葉ではそう言ってたけど、嬉しそうに微笑む笑顔に思わず見惚れてしまう。 「マジ?お前、相変わらず涙もろいな~」 他の人達に茶化されていたけれど、仲の良いバンドなんだと分かり、思わず見ていて幸せな気持ちになった。 「俺達さ、みんなイケメンじゃないか」 真剣な顔で「お兄ちゃん」と呼ばれていたイケメンが呟く。 まぁ……確かに、此処に居る人達は、皆様それぞれが個性の違う綺麗な顔立ちの人が集まっている。 私が一人一人の顔を見ていると 「お前、自分でそれ言うか?」 ドラムのスティックらしき物を鞄にしまっている人が笑いながら突っ込んでいると 「だからさ、顔だけのバンドって言われてて……。どんなに練習したって、俺らの実力なんて認めてもらえなくてさ……」 その言葉に、冷やかしていた筈のメンバーの顔が真顔になった。 「カケルが加入して、今度はカケルのお荷物バンドって言われてさ」 彼の言葉に、カケルと呼ばれているボーカルの人が口を開きかけると 「でも、素直な子供が認めてくれたんなら、俺はそれで良いや」 そう言ってニッコリ微笑んだ。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加