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第一章 運命の出会い
その声は、幼い私の心の琴線を鷲づかみしたかのように強烈に飛び込んで来た―――。
出会いは小学校3年生の時だった。
両親の離婚問題で家がもめており、私は急遽母方の親戚の家へと預けられた。
親戚の家には私より7歳年上の従姉妹がおり、当時高校生だった従姉妹のお姉さんに連れられて学校の文化祭に行った時だった。
広い体育館にはまばらな人達が立っていた。
「明日海ちゃんは危ないから、此処に居てね」
お姉ちゃんに言われて、父兄用の椅子に座らせられる。
ステージでは、決して上手とは言い難い楽器の演奏とボーカル。
ドラムの叩き付けるような音やうるさいだけのギター音に思わず耳を塞いだ。
しばらくしてそのバンドの演奏が終わった頃、まばらだった体育館に続々と人が集まり始め、あっという間に体育館が人、人、人で埋め尽くされた。
目の前が人だかりになり、ステージが見えなくなってしまう。
(何が起こるんだろう?)
幼いながらにその様子を黙って見ていると、ドラムを叩く音が鳴り始め、ギターやベースの音が鳴り始める。
(え?又、あのうるさい音?)
思わず身体を強ばらせた時、スティック音がリズムを叩くとギターやベース音が鳴り始める。
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