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第4話
ククリ・ディール――アクリス王国の隣国、ディールの第一王子。
わたくし、カサンドラ・ラクレシアの婚約者。
魔女に記憶を奪われたことでその事実は忘れてしまっていましたが、しかしククリ殿はわたくしの側を離れることなく守ってくれていました。第一王子であるにも関わらず、他国の王女の侍従になってまで。
「今まで貴方のお陰で『私』は記憶を失っても希望を失わず、生きていくことができました。『私』のかわりに感謝します。本当に、ありがとうございました」
そう言って微笑むと、ククリ殿は複雑そうな表情を浮かべながら
「記憶が戻ったのはいいことのはず、なのに……何で俺は……素直に喜べないのでしょうか……」
と言って歯噛みをしていました。そして大きなため息を一つ落とし……
「……やっぱ無理だ!そんなお嬢……絶対に嫌です!」
「……え?」
「だって!」
ククリ殿は息を吸うと、
「ズボラでガサツでマナーも作法も全くなってない上に我儘放題でお嬢様らしさの欠けらもなくて……とても迷惑を被りましたよ。でも!」
そしてまた一つ息吸って、言い切った。
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