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「俺はそんなお嬢が、大好きだったです!下手に媚びを売ってこないし変に気を張らなくてもいい、本心で話せる相手はお嬢が初めてだったんですから!」
「……っ!」
「今のはお嬢……いえ、カサンドラ様には大変な失礼を申したのは承知しております。しかし……この気持ちは止められません。俺の我儘だってのは分かっています。そもそも自分の身分を明かさなかったのも我儘です。第一王子であったとバレてしまえば、今までのように接してもらえなくなる。そう分かっていましたから。ですが……どうか、もう一度だけでも、一目だけでもいい、お嬢に会いたいのです……っ!」
ククリ殿は、わたくしの今まで聞いたことないほどの悲痛な声で叫びました。
わたくしの知る彼の声はもっと幼く、もっと楽しそうに弾んでいたのに。
「……わたくしでは、無理なのですね……」
そう言ってわたくしはそっと黒い箱の蓋を閉じました。
すると……私になった。
「……あれ?ククリ、どうしたの?そんな顔をして」
「……!お嬢、お嬢……っ!」
ククリは私を今までにないくらい強く抱きしめると、何度も「お嬢」と言った。
「な、何?何なの!?」
今まで何があったのか分かっていない私はただただ困惑するばかりである。
「お嬢、俺……やっぱりお嬢を一番愛してます」
などと急に告げられればなおさらだ。
「……は、はぁぁぁぁ!?」
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