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第5話
その後、私はククリから事の顛末を聞くために私の部屋に招いた。
「……で、箱を開けたら記憶が戻って人格も戻ったってわけね」
「そ、そうですね……はい……」
居心地悪そうに目を逸らしながら答えたククリの顔は少し赤かった。
「でも今のズボラでマナーも作法も全くなってない上に我儘放題のお嬢様らしさのない私の方が好きだって?」
「違いますよ!俺が好きなのは、ズボラでガサツでうるさい、マナーも作法も全くなってない上に我儘放題でお嬢様らしさのかけらもないお嬢です!」
先程までの表情はどこへやら。目を輝かせ、そう言い切った。
「どっちも変わってない!いや、むしろ悪口が増えてるんだけど!?……まぁいいや。で、肝心のその箱はどこにあるの?」
「え、えっと、それは……」
何故か言い淀んでいる。まさか……
「壊した……とか?」
「ギクッ」
「……はぁ!?ありえないんだけど!何してんの!?……はぁ、やっと国のためになることを出来ると思ったのに……ククリの馬鹿、アホ、マヌケ……!」
散々言うとようやく落ち着いて、ため息をついた。
「……だって、」
「ん?」
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