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それがどうしようもなく嬉しかった。
「……今日だけですよ。今日はお嬢の誕生日ですから。……本当に今日だけですからね!じゃないと……お嬢の想い人とやらに、申し訳ないですからね」
そう言って更に私を抱きしめる。
少し……いや、かなり複雑な気分だが、それでいい。
その想い人はククリだと、声を大にして言いたいが、それはさすがに色々とまずい。それくらい分かる。
「……大好き、ククリ」
ボソッと伝えたが、声が小さすぎて彼には届かなかった。
私同様、彼も「……なにこれ、俺、すごい役得じゃないですか」と呟いていたようだが、声が小さかったのと私の心臓がバックバック、まるで50m走を100回やってきた時くらい大暴れしていたので聞こえなかった。
――もちろん、50mを100回なんて走ったことは無い、断じてない。
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