第2話

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それがどうしようもなく嬉しかった。 「……今日だけですよ。今日はお嬢の誕生日ですから。……本当に今日だけですからね!じゃないと……お嬢の想い人とやらに、申し訳ないですからね」 そう言って更に私を抱きしめる。 少し……いや、かなり複雑な気分だが、それでいい。 その想い人はククリだと、声を大にして言いたいが、それはさすがに色々とまずい。それくらい分かる。 「……大好き、ククリ」 ボソッと伝えたが、声が小さすぎて彼には届かなかった。 私同様、彼も「……なにこれ、俺、すごい役得じゃないですか」と呟いていたようだが、声が小さかったのと私の心臓がバックバック、まるで50m走を100回やってきた時くらい大暴れしていたので聞こえなかった。 ――もちろん、50mを100回なんて走ったことは無い、断じてない。
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