CANDY POP

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     ☆ 「おはよう」 「おーっす!おはよ~!」  いつもと変わらない朝がやってきた。  寒さも少し和らいで、刺すような冷たさは今朝はない。  体調も回復し、今日からようやく登校できるようになったゆりは、自分の席についていた。 何やら手の平を嬉しそうな顔でじっと見ている。 「復活おめでとう!なのに、今度は雄樹くんが風邪引いて休んでるよ。ゆり、今日こそはあいつにキャンディ渡したかったんじゃない?タイミング悪いね」  亜希子がゆりに近づいてきてそう言った。  ゆりは それを聞いてふふっと笑った。 (雄樹くん、受け取らなくていいものを受け取っちゃったみたいだね)  申し訳ないなと思いながらも、ゆりは笑顔だ。 「あれ?ゆりちゃん、今日のキャンディは可愛いね!ハート型だぁ!」  クラスメートの女子が、ゆりに近づいて言った。 「あ、ホント。いつもと違うね。ちょうだい!」  別の女子が近づき普段と同じように、ゆりからキャンディを貰おうとしたのだが、それを見たゆりは大慌てで阻止した。 「あっ!これはダメだよぉ?あげない!」  女子の手からハートを取り返し、安堵したゆりは大切そうにキャンディを見つめている。  クラスメートたちはその様子に驚いていた。 キャンディをくれないゆりは初めてである。 「何なの、どうしたの?」  ゆりは、その問いかけには答えずにただ幸せそうに笑っていた。
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