3人が本棚に入れています
本棚に追加
「へへへ~、この小さなハートはねぇ、あたしの気持ちだよ~、なんちゃって」
言うが早いか、彼女はぽんっと僕の口の中へハートを押し込んだ。
嬉しそうに、そして少し照れたような顔でゆりはこちらを見ている。
僕はそんな彼女を見ながら、座っていた身体を彼女の方へぐいっと向き直した。
「違う。これは、僕のハートだよ」
一瞬の間に僕は彼女の両肩に手をやった。
僕の口から移された小さなハートを、驚きながらもぎこちなくゆりは受け止めた。
小さいけれど、甘くて可愛らしいハートは、小刻みに震えたままゆりの口の中でゆっくりと溶けていった。
ゆりが受け止めたハートは、ストロベリーの味だった。
最初のコメントを投稿しよう!