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「先輩はサンタさんって信じていましたか?」 「そうだな。小学校入る前くらいまでは信じていたと思うが……そういや、いつから信じなくなったかな」 「私は物心ついた頃から、タダでプレゼントを配る肥満老人なんてこれっぽちも信じてはいなかったのですが」 「嫌な子供だな」 「でも、最近は信じているんです。サンタさん」 「それは何か。サンタ信じている私可愛いでしょアピールか」 「茶化さないで下さい。サンタクロースなんて現実にはいないことは、私だって分かっています。でも、信じるのは自由でしょう」 「信じる者は救われるか」 「別に救われなくてもいいんです。ただ、その方がロマンチックだから」 「……」 「変ですよね。小さい頃は子供っぽい夢だって馬鹿にしていたのに……大きくなってみると何か夢のあることを信じたくなるんです」 「……氷室?」 「だから……一年間良い子にしていれば……サンタさんが素敵なプレゼントを……私の夢を叶えてくれるんじゃないかって……勝手に思い続けて……」 「氷室、眠いのか?」 「先輩……先輩の夢は……――」
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