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結局、氷室の願いが叶ったのかは分からない。
ただ、いつの間にか外の雪は止んでいて、全てが正常に戻っており。ついでにクリスマスケーキは完売してしまっていた。どこぞのサンタが気を利かせたのか。
「先輩のこのマフラー、手編みですよね」
「うん? ああ……」
「バイトももう終わりですし、早く彼女さんのところに行ってあげたほうが良いんじゃないですか?」
「……気付いてたのか。いや、最近付き合い始めたんだけどな」
「先輩の癖に、彼女が出来るなんて生意気ですね。これもクリスマスの奇跡でしょうか」
「言ってろ」
俺を見送る後輩の顔は晴れやかで。
雪が降り終わった空は、どこまでも輝いていた。
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