シーン3:二着のドレス

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料理に関しては、美姫から提案した。 ドレスだけでもいいけれど、両家を大事にしていきたいという気持ちと同時に、自分たちの家庭も新しく築いていくのだと言う決意表明として、カレーを出すイベントにしてはどうかと相談したのだ。 後は、彼女や新郎と一緒に、厨房のスタッフたち、とりわけシェフを説得し演出に協力してもらうだけだった。 シェフの小沢が柔軟な思考の持ち主だったので、美姫の案は通すことができた。 「よかったわー。美姫ちゃん、プランナーにならない? 私のノウハウ全部伝授するけど?」 いたずらっぽく微笑む苑に、美姫はハンカチを握りしめながら笑った。 「無理無理。今回は偶然上手くいっただけだし、一人じゃ無理だったもの。香苗さんが教えてくれて、苑さんやビクトリア、それにシェフや他のスタッフがみんなで亜希さんたちの幸せを願って動いてくれたから、実現できたの。私なんか、まだまだ厨房の盛り付け係、しかも二番目の新米」 もちろん、一番の新米は鎌口だ。 そこは、美姫としても譲れない。
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