プロローグ

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「おめでとう、美(み)姫(き)ちゃん!」 「合格おめでとう! 春日さん、いつ勉強してたのよ」  春日美姫(かすがみき)はこの日、職場に出勤してしばらくすると、急にスタッフに呼び出された。 何事かと思って支配人室のドアを恐る恐るノックした途端、中からドアが開いた。 そのまま、あれよあれよという間にたくさんのスタッフに囲まれて、彼女としては予想もしなかったほど盛大にお祝いをしてもらっていた。 その日は平日で、たまたまご予約のお客様がいらっしゃらない時間だ。 一瞬、何のことかと美姫自身ぴんとこなかったけれど、しばらくして三日前に報告した件だと思い当たる。 鳳(おおとり)支配人に、フードスタイリスト三級の資格に合格しましたと。
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