2837人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
あれは、美姫が入社して二年目、あの鎌口が入ってきた年だった。
何故美姫がはっきり覚えているかというと、彼女が香苗に出会ったのが鎌口のおかげだったからだ。
新米の鎌口は、小沢だけではなく、他のシェフからもいろいろ命じられて、さらにパティシエの堤さんの手伝いに駆り出されることもあった。
あれは、初夏の爽やかな季節を目前に控えた日。
苑が担当したお客様から、面白い提案があった。
挙式されるお二人は、なんでもweb上のスイーツ好きが集まるサイトで知り合ったとかで、筋金入りのスイーツ好きだった。
参考までにと美姫は苑経由でそのサイトを覗かせてもらい、凄い数のスイーツの写真がアップされている様子に圧倒された。
和菓子洋菓子から旅先で口にした外国のお菓子、果ては駄菓子まで。
人類の甘味への執着、恐るべし!
最初のコメントを投稿しよう!