シーン3:二着のドレス

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左のカレーを食べた客たちは、これは中辛か辛口だな、とか、お店で出そうな高級な味だ、とか感心して囁き合った。 それほど対照的な味だったのだ。 美姫が二人に提案した、厨房でもできること。 それは、両家の味を一つにして、自分たちの味にしたらどうかということ。 それを聞いた二人から、それならもうありますよ、と出てきたのが、この中央にあるカレーだった。 二つのドレスを着ることに対して違和感をなくせるよう、イベントとしてゲストに楽しんでもらう。 そうすることで、新婦の、どちらか片方の母を立てるのではなく、両方の母親を大切にしていくのだと言う気持ちを、両家と招待客全員に示してはどうかというものだった。 だが、洋食のフルコースにすると披露宴のメニューは決定している。 そこへ、カレーライスを入れようと言うのだ。 洋食のフルコースのどのタイミングでこれを入れるか、そもそもそんなことが可能なのか。
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