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今しがた買ったばかりのスケスケストライプの下着をつけた恵鈴が脳裏に浮かんできた。
なぜか下のショーツは紐パンツで、あとちょっと引っ張っただけでハラリとおちてしまいそうな頼りない結び目に俺の蚤の心臓が爆発しそうになる。
やばい。
パンツの中が非常事態だ。
「……トイレ」と言い残し、俺はそそくさと恵鈴の前から退避した。
黒いマネキンのとがった胸が、そのまま恵鈴の胸に重なって。
さっきは固くて冷たいプラスチックの感触だったのに、想像の中ではもっちりと柔らかくてエロかった。
こんなところで発情する俺ってなに?なに?なんなの???
一度始まったら止まらない妄想のエロい恵鈴が、紐パンツの片方を解きほぐして俺に見せつけてきた。
トイレットペーパーが真っ赤に染まる。
興奮が落ち着くまであと何分?
やめろ、やめろ、やめろ!!
一時間後。
戻ったところにあいつの姿は消えていた。
愕然とした。
ポケットから携帯端末を取り出してコールして耳を当てたら、後ろから両目を隠された。
べたなカップルのよくあるアレなだけに、俺はびっくりして振り向くと恵鈴が俺の手を引いて多目的トイレに引き込んだ。
「なに?」と、どきどきしながら聞いてみると。
「遅いからもう着ちゃった」と言って、恵鈴が大胆に服を脱いだ。
「ばか!おまえ!!公衆トイレでそんな!!」と大声を上げると、恵鈴の手が俺の口をふさいだ。
「ちゃんと見て、ほら」と、ささやかれて下を見ると。
トランクスを履いた細い腰が、俺の体にぴとっとくっついてきた。
「これはこれでエッチだね」
「お前ほんとにドスケベだな」
「私が履いたパンツに履き替えてよ。そしたら許してあげる」
「許すってなにを?」
「一時間も私を放置したことを、だよ」
「誰のせいでこうなったと思ってんだよ?」
「私のせいだってわかってるよ、だから私もちゃんと謝りたいの」
突然、可愛いことを言うからまた調子が狂っちまう!
「じゃ、後ろ向いてるからとっとと寄越せ」
「燿馬が脱がしてくれなくちゃ」
「はぁ?」
「ほらほら、早く。帰りのバスの時間までもう時間ないよ?
トランクスの下にちゃんと自分のパンツ履いてるから、ね?」
「なに考えてんだ、まじで。俺を揶揄うのはいい加減やめてくれ」
恵鈴は梃でも動かない。昔から、主導権はこいつが全部持って行く。
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