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他愛無い日々 13
うちは防音設計されているって聞いたけど、うっかり廊下に出ると親父の派手なパフォーマンス音が振動として伝わってくることがある。
その振動たるや、ちょっとした地震みたいで怖い。
一体どんなことになっているのか、最近うっすらと興味が沸いてきた。
覗いたら、ダメだろ。
でも、覗きたい。
親父は良いかもしれないが、お袋のことを思うと覗けないけど。
いや、待て。俺。
なんで両親の夫婦の営みを覗きたいだなんて思ってるんだ?
末期だろ?
エロいことをエロいから見たいってわけじゃなくて。
んん・・・なんだろう。
なんで、こんなに覗きたくなるんだろう?
好きな女と何十年も愛し合うって、どんな気持ちなんだろう?
そんな興味がふつふつと俺の胸の中に沸き上がる。
学校の連中は単純にエロいことに興味津々で。
エロいことに変なファンタジーを見ている気がする。
野郎は常に女子の胸の形を遠巻きに眺めて、今日のブラは上向きとか、カップが丸いよりとんがっている方がエロいとか、そんなどうでもいいことにばかり目が行き過ぎている。
体育の時に、ジャージ越しに見える下着の食い込みとか、足の付け根に異常なほど視線を集めたり、後ろから見ると腰がくびれて俺を誘ってやがるとかなんとか、そんなとんちんかんなことを言って、はしゃいでる。
そんな体を品定めして、不純な目で女子を見ることに俺は興味がない。
デカパイの三年にわざと肘を攻められた時も、なにか生暖かくてやわらかいものがあるなぁ程度で、興奮したりなんかしなかった。
誰かが持ってきたグラビア雑誌の際どい水着写真を見ても、何も感じないし。
クラスメイトが見せてくれたアダルトビデオも、他人のセックスを見て何が面白いんだろうって思ったし。
でも、親父とか、お袋とか、恵鈴が相手になると。
俺はなぜか自分の体をコントロールできなくなる。
恥ずかしいけど、他人よりも家族が好きなんだ。
そんな俺は、異常なのだろうか?
微かに聞こえたお袋の声。
「晴馬のバカぁぁぁぁぁ」は、なんか妙に興奮した。
嗚呼、これはこれでなんというか。
やばい。
コンコン、と部屋を仕切る壁を叩く音がした。
恵鈴がまだ起きているみたいだ。
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