他愛無い日々 31

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夏鈴は、そんな二人を後ろから眺めているといった様子だ。 「ただいま」と俺が言っても、横顔は前に釘付け。 その時、「うわぁぁぁ、いま居たよ??」と燿馬が間抜けな声で言った。 「はっきり映ってたね!」と、恵鈴はかなり嬉しそうな笑顔をこちらに向けてきた。 「そうね。今のは本物じゃないかな」と、夏鈴は答えた。 俺には霊は視えない。 心霊番組なんて、本当は好きじゃない。 だけど、我が家の面子はことごとく心霊映像を観るとテンションが上がる。 それは子供らが小さい頃からもそうだけど、夏鈴と初めて過ごした夏に俺は一度とんでもない心霊体験をしている。 「お疲れ様。ご飯にしましょう」と、夏鈴は立ち上がった。 「観ないのか?」 「うん。私はあとで録画をじっくりと観るから」 ……そう、夏鈴は視える子供だった。 だから一緒にいると、時々誰もいない方を向いて、まるで誰かいるみたいなことを言ったりやったりすることが頻繁にあったのだ。 台所に入っていく夏鈴を追いかけて、俺はシンクで手を洗った。 すでに出来上がった料理を温め直して食器を並べていく夏鈴を手伝い、テーブルに配膳していくも子供らはテレビに夢中だ。 「おい!手伝え!ご飯だぞ!!」 「わぁぁぁぁ!!すっげぇぇぇ!!」 「あれは怖い!私でも無理!!」 二人は盛り上がり俺の声が聞こえないらしい。 「……ったく、祭りかよ」とぼやいていると、 「興奮しちゃってるわね」と夏鈴が笑いながら、メインディッシュのハンバーグを並べた。 「料理が冷めないうちに食べるぞ!」と、何度声を掛けても無視。 リモコンを探し出して手に取り、俺は電源ボタンを押した。 画面が消えた途端、二人は一斉にこちらに振り返った。 何が起きたのか、理解できていない不満そうな表情。 「録画してあるんだろ?まずはご飯だ。ほら、座って」 俺が命令していると「やだぁぁ!」と恵鈴が大きな声を上げた。 「パパ!!録画まで止めてるじゃない!!貸して!」と、リモコンをむしり取られた。 それから、二人でテレビ前に立ちあくせくと録画を再セットする。 「今の良いところ見逃したぁぁ」と、燿馬が文句を言う。 その態度に俺はムッとした。
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