幽霊が家に住み着いたんです。実家の台所に

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幽霊が家に住み着いたんです。実家の台所に

。 「幽霊が家に住み着いたんです。実家の台所に。それから半年後に阪神大震災が起きました……」  その彼女は至っておとなしく、ただ単に台所の真ん中に立ちんぼのように突っ立って、ゆらゆら風に吹かれていた。  ◇ ◇ ◇  地震で全壊した実家は駅から徒歩五分の閑静な住宅街にあって庭なしの一戸建てだった。もともとは父親が祖父母の為に立てた隠居。震災の20年以上前に祖母は亡くなっていて、新築中からいろいろおかしなことがあったという。  まず、完成直後に隣家で若い女性がガス自殺した。今でいうヒキニートの25歳で統失を患っていた。包丁でリストカットした挙句、ガス栓を全開にして死亡。遺書によると恋愛事情のもつれが原因らしいが、その家に出入りする男性を誰も見たことがない。  ただ、「わたしは殺される。将来、もっと殺される。日本の人口が一千万人になるまで殺される」と周囲に吹聴していたらしい。彼女が青ざめながら親族に語った内容は常軌を逸していた。  、     
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