幽霊が家に住み着いたんです。実家の台所に

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「将来、大きな物が降ってきて、何もかもペシャンコになる。ペッシャンバッシャン。それから熱いものが落ちてきてバッシャン。日本の人口10パーセントになる」とか今でいう世紀末を予感させるものであった。  そして、死に顔は何か途轍もない恐ろしい物を見たらしく、「わたしは死ぬ。怖いから死ぬ。これからもっとこわい思いをしなければならないなら、さっさと死ぬ」と書き残した。  それから暫く。嫁いでいった姉の部屋にわたしが済むことになった。両親は商売をやっていて忙しく、祖父にわたしを預ける形になった。  家の間取りは4LDKの北向き二階建て。玄関を開けると廊下の突き当りに台所があって、東側に部屋が二つあった。  上の階の北側の部屋がわたしの勉強部屋になった。  引っ越してから間もなく、夜中に「ミシィ、ミシィ」と人が歩く音が往復したり、ドンっと人がジャンプするような音が聞こえた。  一度など、怖くて廊下の灯りを煌々と照らしているにも関わらず、わたしの目の前で「ドン」と鳴った。  普通なら、こんな家、おそろしくて逃げだすところだが、そうもいかない。  両親が住み込んで経営している店に帰るともっと恐ろしいことが待っているのだ。  わたしは生まれつきの霊媒体質で見えないはずのものが見える。  白いふわふわした人影や、顔が半分だけの人とも獣ともつかぬもの、動物になり損ねた奇形の物体、それらがうようよしているのだ。     
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