幕開け

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 辿り着いたのは、コンクリート製の校舎から程良く離れたところに聳え立つ、2階建て木造の旧校舎……  大抵、この手の古い校舎には、学校特有の伝説、怪談がつきもので、この旧校舎も、例によって、様々な噂が生徒達の間で流れていた。  そんな校舎に、躊躇無く理亜は足を踏み入れる。    彼女の目的は、この怪奇現象渦巻く旧校舎の調査なのだろうか……  そうではない。  理亜が目指す〈超常科学研究会〉――〈超科研〉の部室はこの旧校舎の中に存在していた。  既に廃墟同然の古びた廊下を進み、軋む階段を恐れることなく登り、部室である〈資料室〉の扉を開ける。    中を覗くと…… 「お、やっと来たか、コマンダー……」  既に他の部員は揃っていた。  その見慣れたはずの面々を見渡した理亜は、また溜息をつく。    ――これじゃ、希少種の鳥と並んでバードウォッチングしているようなものよ……  入部した初日に抱いた印象は、今でも変らない。  何故なら……
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