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誰だ?お前?
緑野山高等学校映画作成部。通称『緑のエーサク』その中心人物、監督兼脚本係「草村育枝」彼女は今、ある脚本を書いていた。
それは夏休みに撮影をする、つぎの作品のものだった。
岡山県を舞台にした「ヒーローアクション」だ。
順調にペンを走らせていた草村だったが、物語も後半に差し掛かる時、草村の手がピタリと止まった。そして、
「誰だ?お前?」
それは草村自身が発した言葉だった。
草村は、作品を作るにあたって、ある決まりがあった。
それは、登場する人物は、すべて実在の人物をモデルにしてるということだ。
これは、草村が決めた事ではなく、自然とそうなっていった。
今まで、何作品も作っていたが、モデルの居ない人物は一人も登場しなかった。
特に今回は、部活の作品である。部員以外が、出ることなど考えられない。
しかも、その出てきた男は、話の中盤から登場し、内容に大きな影響を与えていた。主演の風見と肩を並べる存在だ。
「まいったな…こいつ、いいキャラしてるんだよな。外したくないんだよな~。」
草村は鼻と唇にボールペンを挟み、背もたれに大きくもたれた。
「ま、いいか。
おい!お前!私の頭に住み着いたお前が悪いんだからな!責任は、キッチリとってもらう。」
そう自分に言うと、そのまま脚本を書き上げた。
さらに、風見、氷河、その男の三角関係の話を書き始めた。
それからというもの、草村の作品には、必ずといっていいほど、その男が出ていた。
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