宇宙の誕生前夜

「あなたはどこからきたの？」
「前の宇宙からきた。」
「前の宇宙？」
「前の宇宙は失敗して崩壊したんだ。」
「どうして崩壊したの？」
「空間が破れたんだ。」
「空間って破れるの？」
「破れるよ。前の宇宙はだいたい今の宇宙と同じなんだけど空間が今よりかたかったの。」
「空間のかたさがわかるの？」
「今の宇宙の空間はクリアケースみたいに柔らかいんだけど、前の宇宙は下敷きみたいにかたかったの。宇宙って膨張しているでしょ？前の宇宙は膨張に耐えられなくて空間が破けたの。」
「どうしてそんな事知っているの？」
「前の宇宙の記憶が少しだけ残っているんだ。」
「前の宇宙ってどんなの？」
「どこに行ってもすごい都会で一つの島が全部東京みたいなの。たとえて言うならラピュタが東京。みんな不老不死で永遠の命をもっていたんだ。で僕は婚約者がいた。東京に少しだけ自然が残っていて、そこで婚約者と結婚しようって話をしていたんだ。そしたら、空間がビヨーンって少し揺れ始めたの。」
「空間が揺れるってどんなの？」