嫌いなままでいい

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 雪は嫌いだ。  嫌な思い出がたくさんある。  いい思い出もあったけれども、嫌な思い出が全部塗り替えていった。  彼女と見た綺麗な雪景色も、俺が作った不格好な雪だるまを彼女が大笑いしたことも、楽しい思い出も雪は全部、白く塗り潰していった。  だけど白く塗り潰された思い出を、また最近上書きしている。  昔ほど嫌いではない。  雪を好きだと思う日もいつか来るのだろう。  それを期待しながらも、今はまだ嫌いなままでいい。  まだ彼女とのことを、そこまでの遠い思い出にしたくない。  雪を好きだと思う日が来たら、それはきっと、彼女が過去になる日だから。  彼女の位置に同居人が来ることになる日だから。  今はまだ、嫌いでいい。
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