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マッチ箱をゴメンナーに突きつけるジャッジちゃん。ほとんど押し売りに近い。そこに悲壮感は皆無である。
ややあって、ゴメンナーはそっと尋ねた。
「ハウマッチ?」
「100アルゼンチン・ペソよ」
ゴメンナーのくだらないギャグに、高いのか安いのかよくわからない額をジャッジちゃんは提示する。
一方、ゴメンナーはギャグをスルーされ、気まずそうに視線をそらした。
「そうか。100アルゼンチン・ペソか……。ごめんなさい。俺は無一文だ」
いきなり驚きのカミングアウトをし、ゴメンナーはおもむろにひざをつく。雪が積もりだしたアスファルトに両手を置き、次いで顔もアスファルトすれすれまで下げた。
これぞ謝罪戦士ゴメンナーの必殺技・大地への接吻である。
「こんなのアウトね。誠意が足りないもん」
ジャッジちゃんは、しかし、ゴメンナー渾身の必殺技を無下にするかのごとく、彼の後頭部を靴で踏みつけた。
「ごふ。な、なにをするんだ、ジャッジちゃん!?」
「お金がないのに値段を聞くって、冷やかしでしょ? つまり、あたしの判定だと、これはお仕置きよ」
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