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ラジカセから大音量で音楽を鳴らし、一人の男が割って入るかのごとく現れた。溢れるトンチキなメロディが雰囲気をいっぺんにぶち壊す。
「ちょっとすみません。迷惑なんですけど、その曲」
一人の女性が不機嫌そうに男をにらむ。
「やっぱりな。ベクション。俺も迷惑だと思っていたんだ」
大音量に負けない大声で男は返し、ラジカセをとめる。
周囲がざわつき、男に注目が集まりだす。全身ブルータイツで着飾った男は動じもせず、肩にラジカセを担いだまま、鼻水を垂らしていた。
「だれだよ? あんた」
一人の男性がけんか腰に聞くと、男は待ってましたとばかりに口を開いた。
「俺は謝罪戦士ゴメンナー! 素直に謝れないおまえたちに代わって謝罪をする戦士だ! ダックション!!」
「どういうこと?」
「変質者じゃないの?」
「警察呼ぶ?」
たちまちあたりが混乱に見舞われる中、ゴメンナーは雪に顔をうずめかねない勢いで土下座した。
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