2人が本棚に入れています
本棚に追加
『いつもは、
事務所なのになぁ』
『事務所じゃダメなんだろ。
ところで、
いま何時?』
『十時三十分』
『時間的には、
ちょうどいい』
右手にしている腕時計で、
時間を確認し、
チケット売り場に歩き始めた。
☆
チケット売り場に居たのは、
おばあさんだった。
おばあさんは、
二人を見るなり、
ニヤニヤ笑いだした。
朧は、
気にする事なく大人二枚分の代金を支払い、
チケットを受け取った。
その時、
おばさんが、
「かわいい彼女逃がしちゃダメだよ」
と零の顔を一瞬見つめ、
言ってきた。
☆
『俺は、
男だ』
『まぁまぁまぁ。
それぐらい、
お前が女性に見えたんだよ。
あのおばさんには』
手を離し、
左手で零の背中をトントンと軽めに叩く。
最初のコメントを投稿しよう!