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春の雪
寒いね、と微笑む彼に、私も同じように微笑みを返した。
朝から降り始めた雪は、いつもの帰り道を純白の景色に変えてしまった。
「雪は好き?」
彼の問いかけに、私はうんと頷く。
「俺も好き」
彼はまた微笑んで空を見上げ、長くゆっくりと息を吐く。それは空中をふわりと漂い、すーっと儚く消えていく。
それを見届けて、私も同じように息を吐いた。
「あ、真似した」
彼が肘で私を軽くつつく。くすぐったいような感覚に、笑みがこぼれた。
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