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駅に着く前に、すっかり雪は止んでしまった。
「あーあ」
残念そうに彼が空を見上げた。
「雪、すぐ解けてしまうかな」
「うん。そうかもね」
「ちょっとがっかりだな――あ、そうだ」
彼がパッと目を輝かせる。
「今から雪だるま作ろうぜ?」
「……へ?」
思わず目が点になってしまった。
彼は悪戯っ子のように笑う。
「雪だるま。雪が溶けてしまわないうちにさ」
無邪気な彼の笑顔に、胸が高鳴る。
もっとこの笑顔を見たくなって、私は「いいよ」と頷いた。
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